不格好な平カゴだけど

Azalea通りの小さな家。
そして主玄関内に2基、勝手口用に1基のエレベーターがあるビルのワンフロア、
というラプラタ川を遠望する家。
その後転居した今にも落ちそうなベランダのある日当たりの良い家。
結婚してから住んだどの家にも家族で過ごしたたくさんの思い出があります。

どの家でも、旅先で購入した民芸品の他、当時幼かった子どもが拾った木の実や
葉っぱ、工作、絵などを飾っていました。
そしてもちろん、私自身の手作り品も。

どれもこれもが想い出深いものですが、他人からみたら(これって何?)なものも。
そんな愛すべきガラクタの中から一つご紹介します。

なんとも不格好な平カゴですね〜
実はこれ、木の細枝を使って編み込んだカゴです。
自宅庭に植えた小さなフィクス(ベンジャミン?)が数年後には大きく育ち、その
剪定で出た若い枝を使って自己流で編んで作ったものです。

貝殻を入れるための小さなカゴが欲しいのに、気に入ったものがどうしても
見つからず、ならばと自作することにしました。
クラフト用のラタンは現地の手芸店でも扱いがありましたが、ラタンではちょっと
イメージが整いすぎて、と悩んだ結果、生木を使おう!とひらめきました。

ひらめきの元は基地作りに励んでいた小さな頃の遊び。
雑草や小枝を集めてはなんとかお皿らしきものを作ったことを思い出しました。
複雑なことはできないけれど、要は芯が八方に出ているのに胴用のツルを
上下上下とぐるぐる巻いていけばいいわけで。

若枝の先端は程よくしなる柔らかさが残っているのですが、それでも
なめらかには曲がりにくいのを、だましだまし編んでようやく小さな平カゴを
作りました。
仕上げは特にせず、使いながらの自然乾燥で。

不格好なものですが、これを目にすると、ろくな材料が手に入らずとも
なんとかならないか考え抜いて苦心して作っていた頃のことを懐かしく
思い出します。
売ってなければ作る。材料がなければ代用品を探す。
どちらも想像力が大いに必要とされることじゃないかしら。
教わるだけじゃなく、自身で考えることを鍛えられていたんだなぁと、
自戒を込めて思い出す平カゴです。

そして終の棲家と思っている里山に囲まれた今の家。
また、連日大量の落ち葉と格闘する長いシーズンが始まりました。
四季とともに変わる周囲を味わいながら、まだまだいろいろなものを
この家から作り出していきたいと思います。