物思いに耽る秋のフレーム

いつまでも半袖にサンダルでいられるんじゃないかと思っていたら、あっという間に寒々として体が追いつきません…。

クラスで8月後半から作り出した秋のフレーム、4回8時間で完成する予定がお休みされたりで全員同時の完成とはいきませんでした。というわけで今回お写真に撮ったのは2人分。

秋のイメージはいろいろ

アザレア工房の定期クラスでは今までにたくさんのフレームを作ってきているので、さすがに毎回のテーマをどうしようか悩みます。毎回違う生徒さんなら同じ作品でも全く問題ないけれど、定期クラスは長く通ってくださる方たちなので、その手は使えず。

基本的に1年を通じてリースやフレームなど、同じタイプが続かないようバリエーションを持たせたベースを決めるようにしています。もちろん、過去作品と被らないのは当然です。

今回は秋の光景をフレームにすることにして、例えばこんなふうに秋を分解。                かぼちゃ、こっくりした色、落ち葉、焼き芋、豊かな実り、運動会、秋祭り、お神輿、静かな海、枯れた草花、葡萄酒、古い洋館、遠くに聞こえる弦楽奏、アンティークのレース、軋むゆり椅子の音、こんなふうに頭に浮かぶ秋のイメージをどんどん出していくうちに方向性が徐々に収束していきます。

方向性が一つに絞れない時は、昨年の秋作品や直前の作品と比較して、同じような雰囲気になっていないか、同じ技法を続けていないか、などを検討材料に加えて一つに決めるようにしています。

というわけで2025年秋のフレームはこちら。

こんな決め方もあり

秋のイメージを決めてからデザインする場合ももちろんあるのですが、逆に資材からインスピレーションを受けて方向性を決めることもあるんです。実は今回の秋のフレームがまさにそれ。

100均でこのフレームを見つけた時に、(重過ぎないクラシカルなフレームが作れそう)と閃きました。ひとまず必要数を購入し、先ほど挙げたような秋の分解を。                 そこから(エレガント好きの生徒さんたちだし)(そういえばしばらくバラを作ってない)(最近入った生徒さんには難易度高めの花ばかりは辛いかも)とメインの花を決め、添えの花のサイズや個数、葉の種類、背景などを考えていきました。

盛りだくさんな学びポイント

毎回、いくつかの学びがあるようにデザインするようにしています。もちろん長く続けているクラスなので、全く新しい技法というわけにはいかないので、少なくとも前回は使わなかった技法、久しぶりの技法を必ず一つ入れ飽きないように意識しています。

今回のポイントを順にご紹介しましょうか。                           まずはメインとなる基本の開花バラ、これは地模様がある紙を選び、いつもよりもクセのつけにくい紙の扱いにチャレンジです。バラの芯部分が上手に作れると周囲の花弁が楽なので、芯部分の練習になる蕾を追加しておきます。もちろん蕾の下部の膨らみもしっかり作ります。

バラの花弁はフリーカットとインキングを加えるのでかなりの労力。というわけで他の添え花はインキングさえすれば重ねていくだけの簡単なものを。重ねていくだけとはいえ、どれくらい花弁を立ち上げるかで陰影が変わるため、その辺りはご自身の作りたい花をイメージするのが大切です。なかなかイメージしにくい場合は実際に立ち上げ方を何通りかやって確認ができるのも、紙ならではの利点ですね。

小さいながら立体感を出せるスティック状の花は簡単ですが、適切なボンド量、目測でバランスよく小花を貼っていく練習になります。葉は葉脈をはっきりと入れるコツ、動きの出し方を、背景紙でエンボスとデボスの見え方の違いなどを学びます。

学び、というと大上段に構えたような堅苦しさを感じますが、簡単に言えば「いろいろな作業があるので飽きない」ということ。ずっと根を詰めて作るのも大変だし、かといって貼ればいいだけの単純なものは物足りない、そのあたりのバランスを見ながらデザインしていくのは大変ですが、とても面白く楽しい時間です。