これで今回の作品についての話はおしまい、もう少しだけお付き合いください。
4ヶ月を振り返ってみると、平和希求とは何だろう、と自問自答を繰り返す毎日でした。
主語を大きくすることはともすれば大勢を集め鼓舞するための旗印になります。
でも、物作りのひとりとしては、旗印になるのは違うと感じました。
そこで、自分が平和に向き合い感じたことを作品に落とし込むために選んだのが背景です。
きれいな花を集めたリースは平和の証、喜びの輪廻、そして鎮魂の形です。
そのリースが映えるような背景を作ることにしました。
背景紙は私が生まれた歳から数十年の間に世界で起きていた戦争や天災、事故にまつわる事柄について書かれたものを集めて作っています。
私が初めて歩いた頃、ある国ではストライキから発生した大規模な弾圧が。
ランドセルを背負って楽しく学校に通いだした日、あの国では戦争が始まり
多くの人が亡くなった。
修学旅行にワクワクしながら出発した日、ある国でテロが起きた。
私が人生を謳歌していた時に、人生を断ち切られた人がいたこと、断ち切った戦争や災害があったことを、可能な限り調べ、ある形にして取り出していきました。
ニュースで知ったどんなに悲惨で悲しみ深い出来事であっても、当事者以外の記憶に留まり続けることは難しいです。
それを掘り起こす力を持つ一つが文学。
どんな形で取り出したかは、ぜひ会場でご覧いただければと思います。