出展作品の話 〜 その3 〜

作品の形がぼんやりとまとまってきたのが、ちょうど、準備期間の半分に近づいた2月末の頃です。

当初考えていたのは、たくさんの言語で平和とエンボス加工をした自作の紙フレームを作り、その中に高低差をつけて花を敷き詰めるものでした。
多言語の表現は秋のウィーンでの展示を視野に入れたデザインだったのですが、平和という単語を並べるのは別に私の体験とは重ならず、いかにも安易でした。

私がペーパーフラワー作りで大事にしているのは、やはり花を目にした時に自然に沸き起こる「きれい」という感情です。
そのために奇をてらわずに素直に花の美しさを感じられるリースにしました。

リースだけを見せても私の平和を表わしたことにはならないので、私自身の人生と重ねられるような仕掛けのある背景を加えます。

背景は何枚ものペーパーをランダムに貼り、咲き誇る花を引き立てるほのかな陰影のある背景に仕立てたものです。
貼る作業は短時間でしたが、実はこの背景紙を作るのにずいぶんと時間をかけています。
会場でじっくりとご覧になった方は背景の意味がわかるので、ご自身の人生に重ねていただくもの一興です。