出展作品の話 〜その2〜 

「平和希求」をどうやってペーパーフラワーでの表現に落とし込むかに悩む日が続きます。

ブライダル、クリスマス、と具体的なものはすぐに構成が浮かぶけれど、抽象的なテーマは経験がなく、結局遠回りでも私にとって「平和希求」とは何かを考えることから始めることにしました。

今回の美術展では「平和へのメッセージ」を作者が寄せることになっています。

私は長らく中南米の麻薬やマフィアで名を馳せる国々で仕事をしていた人と結婚し、その後メキシコやアルゼンチンで長く暮らしていました。

幸い、避けようのない天災に直接あうことはありませんでしたが、巻き添えで銃を突きつけられたり強盗にあうなど家族それぞれが命の危険に晒される経験をしています。
そして、何人もの友人知人が、天災や事故、強盗、テロ、時の政権による弾圧などで命を落としたり、辛い思いを抱えながら今も暮らしています。
私達家族が日々の小さなトゲに刺されることはあっても生きているのは、たまたまそういう環境にいられるからというだけ。


平和について無意識に常に反芻する生活の中で、主語の大きな「世界平和」をお題目のように唱えるお手軽さや無責任さを感じることもありました。

  平和な世界であってほしい。
  でもあなたの平和と私の平和は重ならないこともある。
  平和をつぶやきながら誰かの平和を壊すことに加担していることがある。

考えれば考えるほど迷いも深くなりましたが、最後は自身に引き寄せて消化する
しかないと腹を決め、一気にメッセージを書き上げました。

同時に、作品本体もぼんやりと形が現れ始めました。